◎摘出・つくられた癌◎

のびのび

2006年02月21日 03:45


「ミスを発端に、医師たちは蠢きはじめる。」

━━━━きっかけとなった出来事━━━

手術中に、左右の癌をとりちがえる。癌ではないほうの乳房が先に、ミスで切り落とされ、やむなく(やむなく?)両方の乳房を切除。

「仕方がない。癌だったことにしよう。」

命の重さを忘れた、大学病院、という世界の醜い人間模様。
良心を捨てきれずに呵責に苛まれる、若い関係者。
内部告発の裏の裏。
被害者となった患者がたどる、複雑な悲しみ、疑惑、怒りを経てのちの、人生と向き合う姿勢。

重いテーマを全体に感じますが、文体やストーリー自体は、読みやすい、わかりやすい、感情移入がしやすい。ぞくぞくしながら、考えさせられながら、読み終えました。

つーか。感想文も、あらすじの説明も、へったくそじゃん、自分。

一番印象的だったのは、癌を発症した側の乳房だけじゃなく、間違えて、癌じゃないほうの乳房までも切り取られてしまった患者が、最後に辿り着いた、決断でした。許せるものなのだろうか。と、考えてしまいます。

登場するすべての人に対して、そう感じます。
事実を闇に葬る行為を許せるの?
事実をねじ曲げる行為を許せるの?
生身の体にメスを入れることを、国から許される職業なんだよ。適切な倫理感はそれを許せるの?
失う必要のない体の一部を失ったのよ、その罪を許せるの?
それは罪でしょう?それとも罪じゃないの?
いろんな事を考えました。
早い話、読む価値あるよ、といいたいわけです。

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